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こんにちは。気まぐれレジン便り、運営者の「TOMO」です。
レジンでアクセサリー作りをしていると、市販の型では満足できず、自分だけの形の鉱石を作りたいと思う瞬間がありませんか。既製品のモールドは便利ですが、どうしても「どこかで見たことのある形」になってしまい、作品の個性が消えてしまいがちです。「もっと自然で、二つとして同じ形がない、本物の鉱物のようなアクセサリーを作りたい」。そう願うのは、ハンドメイド作家として自然なステップアップだと思います。
でも、いざモールドなしで挑戦しようとすると、どうやって液体のレジンを形にすればいいのか分からなかったり、あるいは100均の材料やアルミホイルを使って手軽にできる作り方がないかと探している方も多いはずです。私自身も最初は、硬化させたレジンをカッターで削ってみたものの白く曇る失敗をしたり、セロハンを入れても思うように輝かなかったりと、試行錯誤の連続でした。しかし、レジンの特性を理解し、正しい手順を踏めば、高価な道具を揃えなくても、研磨やコーティングのコツさえ掴めば、誰でもまるで宝石のような作品を生み出すことができます。
この記事では、私が実際に試して効果のあった「モールドレス造形」のノウハウを余すことなくお伝えします。
- シリコンモールドを使わずに、表面張力やカッティングで形を作る3つの基本テクニック
- セリアやダイソーなどの100均アイテムを使って、プロのような鉱石感を出す材料選びの秘訣
- ナイフでの削り出し(チッピング)や、段階的な研磨でガラスのような透明感を作る具体的な手順
- よくある「中が曇る」「表面がベタベタする」などの失敗原因と、それを防ぐための技術的な解決策
レジン鉱石をモールドなしで作る基礎と材料
型を使わない「モールドレス」な造形は、実はレジンの醍醐味が詰まったとても楽しい作業です。型に流し込むだけの作業とは異なり、重力や液体の表面張力をコントロールしながら、偶然生まれた形を作品へと昇華させていくプロセスは、まさに「生成」と呼ぶにふさわしい体験です。ここでは、身近なお店で手に入る材料の選び方から、ナイフでの削り出し、身近な素材を使った質感の表現まで、基本的なテクニックを順を追って解説していきますね。
100均で揃う材料と道具の選び方

「鉱石レジン」と聞くと、なんだか特別な専門店で高い材料を揃えないといけないような気がしてしまいますよね。でも、実はその多くがセリアやダイソーといった100円ショップで揃うアイテムで十分代用可能なんです。むしろ、練習段階では高価なレジン液を使うよりも、手軽な100均レジンで「粘度の感覚」を掴む方が上達への近道かもしれません。
最も重要なのは「レジン液の粘度」
まず一番大切なレジン液ですが、モールドを使わない場合は「粘度(とろみ)」が非常に重要になります。
レジン液選びのポイント
モールドなしで形を作るなら、サラサラしたタイプ(低粘度)よりも「高粘度」や「ハードタイプ」とパッケージに書かれたものが絶対におすすめです。
低粘度のレジンは気泡抜けが良い反面、台座に出した瞬間に水のように広がってしまい、厚みを出すことができません。一方で高粘度タイプなら、水飴のようにその場に留まろうとする力が強いため、ぷっくりとしたドーム状の形を維持しやすく、作業中にダレてしまうのを防げます。
揃えておきたい道具リスト
次に道具類ですが、以下のものは最低限揃えておくとスムーズに作業が進みます。
- ニトリル手袋:レジン液はアレルギーを引き起こす可能性がある化学物質です。素手での作業は避け、手にフィットするニトリル製の手袋を必ず着用しましょう。
- シリコンマット:レジンを硬化させる台座として使います。レジンが剥がれやすい素材であれば、クリアファイルやクッキングシートでも代用できますよ。
- ネイル用ファイル(やすり):形を整えるのに使います。100均のネイルコーナーにある、目の粗さが違うセットものが便利です。
- マスキングテープ:土台作りや固定、あるいは即席の「堤防」を作るのに大活躍します。
カッターナイフについて
100均の一般的なカッターナイフでも削ること自体は可能ですが、刃が薄すぎて力を入れるとパキッと折れる危険があります。また、力が逃げやすいため断面が白くなりやすいという欠点も。
もし本格的に「削り出し」をやりたいなら、ホームセンターや模型店で売られている「アートナイフ(デザインナイフ)」を一本持っておくと、仕上がりの鋭さが段違いになりますよ。数百円の投資でクオリティが劇的に変わります。
ナイフで削るカット手法の作り方

検索してこのページに辿り着いた方の多くが気になっているのが、この「レジンをナイフで削って鉱石にする」という手法ではないでしょうか。これを専門的には「サブトラクティブ(除去)法」なんて呼んだりしますが、要は「固めたレジンの塊を彫刻のように削る」というシンプルな方法です。シリコンモールドでは決して出せない、鋭利でランダムなエッジを作れるのが最大の特徴です。
Step 1: 原石ブロックの生成
まずは削るための「原石」を作ります。シリコンマットやクリアファイルの上で、レジンを何度かに分けて硬化させ、直方体や円柱状の「レジンの塊」を作ります。
この時、一度に厚く固めすぎると、光が奥まで届かず内部が固まらない「未硬化」の原因になります。面倒でも2〜3ミリずつ層を重ねていくのがコツです。また、層ごとに少し色を変えたり(クリア→薄い青→濃い青など)、ラメを挟んだりすることで、削った時に地層のような美しい断面が現れます。
Step 2: カッティング(削り)の技法
完全に硬化したレジンをナイフで削っていきます。ここで大切なのが、削り方のイメージです。リンゴの皮をむくように「切る」というよりは、「弾く」イメージで刃を入れてみてください。
「チッピング」という技法
刃を少し立ててレジンにグッと食い込ませ、手首を返して「パチン!」とレジンを弾き飛ばすように削ります。こうすると、ガラスや黒曜石が割れた時のような、「貝殻状断口(かいがらじょうだんこう)」と呼ばれる、予測できないランダムで鋭い曲面が生まれます。
平面的なカットではなく、この「えぐれたような曲面」こそが、本物の鉱石らしさを演出する最大のポイントです。
削った直後は表面が微細な傷で真っ白になりますが、これは正常です。後で説明する研磨やコーティングの工程を経ることで、魔法のように透明に戻るので安心してくださいね。
アルミホイルで岩の質感を出すコツ

もっと手軽に、ゴツゴツした岩のような質感を出したい時に便利なのが、どこの家庭にもあるアルミホイルです。これは、レジンの内部で光を乱反射させることで、複雑な構造に見せるテクニックです。「削るのは難しそう」という方には、まずこの方法をおすすめします。
アルミホイル活用術
使い方はとても簡単ですが、いくつかのバリエーションがあります。
- 岩の芯として使う:アルミホイルを適当な大きさに切り、手でギュッと固く丸めます。これを「岩の核」として使い、上から色付きのレジン液をコーティングするように塗って硬化させます。レジンの使用量を節約できるメリットもあります。
- テクスチャとして封入する:クシャクシャにしたアルミホイルを広げずにそのままレジン液の中に沈めます。アルミホイルの不規則なシワが、レジンを通すことで銀鉱石やパイライト(黄鉄鉱)のようなメタリックな輝きに変わります。
もし「金色の鉱石」にしたい場合は、100均のネイルコーナーにあるゴールドの転写フォイルや金箔シートを使うのもおすすめです。これらはアルミホイルよりも薄いため、レジンへの馴染みが良く、より繊細な輝きを放ちます。
セロハンを使った内部の輝き表現

透明な水晶の中に、虹色の亀裂(クラック)が入っているような神秘的な見た目。あれを再現するのに役立つのがセロハンやオーロラフィルムです。光の屈折率の違いを利用して、あたかも石の内部に傷があるように見せる「錯覚」のテクニックですね。
クランプル技法で「幻影」を作る
この技法で重要なのは、フィルムを「きれいに貼る」のではなく、「意図的にクシャクシャにする」ことです。
クランプル(Crumpling)技法の手順
1. オーロラフィルムやセロハンを1cm角程度に小さく切ります。
2. それを指先で丸めて、小さなゴミ屑のような球状にします。
3. レジン液の中に沈め、爪楊枝などでつついて気泡を抜きながら配置します。
丸まったフィルムの無数の折り目が光を複雑に反射し、まるで石の内部にひび割れや結晶面があるかのような錯覚(ファントム効果)を生み出します。特に、見る角度によって色が変わる「ダイクロイックフィルム」などを使うと、オパールのような不思議な遊色効果も簡単に表現できます。100均のラッピングコーナーやネイルコーナーは宝の山なので、ぜひ「薄くて光る素材」を探してみてください。
マスキングテープで形を作る技法
「削るのは大変そうだけど、決まった形ではないラフな形を作りたい」という場合は、マスキングテープを型枠として使う方法がおすすめです。物理的な「堤防(ダム)」を作ることで、液状のレジンを好きな形に留めておくことができます。
やり方はとてもシンプルです。
- クリアファイルなどのツルツルした台の上に、マスキングテープを輪っかにして貼ります(粘着面を内側にしても外側にしてもOKですが、土手を作るイメージです)。
- あるいは、テープ自体を折り曲げて、三角や四角の「壁」を作り、台座に貼り付けます。
- その中に、高粘度のレジン液を流し込みます。
この方法の良いところは、テープのたわみや歪みがそのままレジンの形になることです。定規で測ったような完璧な直線ではない、手作りならではの「ゆらぎ」のある自然なフォルムが生まれます。
液漏れに注意!
テープと台座の間に少しでも隙間があると、レジン液が毛細管現象で漏れ出してしまい、失敗の原因になります。底の部分はしっかりと爪やヘラで押さえて密着させてくださいね。粘度の高いレジンを使うことも、漏れのリスクを減らす重要なポイントです。
レジン鉱石のモールドなし仕上げと対策
形が出来上がったら、次はいよいよ仕上げの工程です。削りっぱなしの真っ白な状態から、透き通るような宝石に変化していく瞬間は、何度やっても感動しますよ。ここでは、作品のクオリティを決定づける研磨(サンディング)の方法と、初心者さんが陥りやすいトラブルの解決策をお伝えします。
透明度を上げる研磨の工程と番手

ナイフで削った直後のレジンは、表面が粗い傷だらけで白く曇った状態(マットフィニッシュ)です。これを透明にするには、「耐水ペーパー(サンドペーパー)」を使って、傷を少しずつ細かくしていく「置き換え作業」が必要です。
研磨プロセスの詳細
研磨は、いきなり細かいヤスリを使っても深い傷は消えません。以下のステップで進めるのが基本です。
| ステップ | 番手(グリット) | 目的と状態の変化 |
|---|---|---|
| 1 | #400 | シェイピング(整形):ナイフの粗い跡を消し、面を整えます。表面はまだ真っ白でガサガサしています。 |
| 2 | #800 | スムージング:#400の深い傷をより浅い傷へ置き換えます。手触りが少し滑らかになってきます。 |
| 3 | #1200〜#1500 | 半透明化:表面がしっとりとし始め、光にかざすと向こう側がぼんやり透けて見え始めます。 |
| 4 | #2000以上 | 仕上げ前:かなり透明に近づきますが、まだ「すりガラス」のような状態です。ここで止めてマットな質感を残すのもアリです。 |
重要なのは、必ず「水をつけて磨く(水研ぎ)」ことです。乾いたままで削ると摩擦熱が発生し、レジンが溶けてベタついたり、変色したりする原因になります。また、有害な粉塵を吸い込んでしまうのを防ぐためにも、水研ぎは必須です。
#2000まで磨いたら、最後は「コンパウンド(液状研磨剤)」を布につけて磨くことで、鏡のような光沢が出ます。しかし、手っ取り早く透明にしたい場合は、薄くレジン液やトップコートを塗って硬化(コーティング)してしまいましょう。コーティングなら一瞬でツヤツヤになりますが、角が少し丸くなるので、鋭さを残したい場合はコンパウンドまで頑張るのがおすすめです。
失敗しない!曇る原因と解決策

「せっかく作ったのに、時間が経ったら中が白く濁ってしまった…」という悲しい経験はありませんか?レジンが曇る原因は、大きく分けて化学的な要因と物理的な要因の2つがあります。
1. 水分の混入による白濁
レジンは「疎水性(水を嫌う性質)」を持っており、水分が大敵です。特に多いのが、封入したドライフラワーや苔が生乾きだったケースです。内部に残った水分がレジンと反応したり、蒸発しようとして微細な泡になったりすることで白濁が起きます。
対策: 封入物はシリカゲルなどを使って完全に乾燥させたものを使用しましょう。また、雨の日など湿度が高すぎる日の作業も避けたほうが無難です。
2. 硬化不良による濁り
UVライトの光が奥まで届いていないケースです。特に顔料(着色剤)を多く混ぜすぎた場合や、一度に分厚くレジンを流し込んだ場合に起こりやすいです。
解決策
「急がば回れ」の精神で、「薄く塗って硬化」を繰り返すのが鉄則です。また、UVライトの電球(チップ)は消耗品です。古くなっていると光量が落ちて硬化不良の原因になるので、定期的な交換も意識してみてくださいね。
おすすめのUVライトに関しては>>レジンUVライト強力おすすめ!硬化不良を防ぐ選び方と決定版の記事に詳しく書いています。
表面がベタベタする時の対処法
指定の時間通りにライトを当てたはずなのに、表面がいつまでもペタペタする…。これは初心者が最も悩みやすいトラブルの一つです。主な原因は「未硬化ジェル」が残っているか、「酸素阻害(さんそそがい)」という現象が起きている可能性が高いです。
レジン(特にUVレジン)の表面は、空気中の酸素に触れていると、重合反応(固まる反応)が邪魔されてしまい、完全に固まりきらない性質があります。薄い膜一枚分が固まらずに残ってしまうのです。
ベタつきを解消するテクニック
- ノンワイプトップコートを使う:これが一番確実です。完全硬化するように設計された、拭き取り不要のトップコートジェルを仕上げに塗って硬化させれば、カチカチのツルツルになります。
- アルコールで拭き取る:手元にトップコートがない場合は、エタノール(無水アルコール)を含ませたティッシュやコットンで、表面をさっと拭き取ってみてください。未硬化のベタベタ部分だけが取れて、スッキリすることが多いです。
気泡の除去とあえて残すテクニック

気泡(バブル)は、基本的には無いほうがクリアで綺麗とされますが、鉱石レジンにおいては「内包物」として肯定的に捉え、味として活かすこともできます。
気泡を消したい場合
気泡が入ってしまう主な原因は、レジンの粘度が高く空気が抜けにくいことです。レジン液をエンボスヒーターなどで40〜50℃くらいに温めると、一時的に粘度が下がってサラサラになり、気泡が浮き上がってきます。浮いてきた気泡は竹串でつつくか、ライターの火を一瞬近づけて熱を与えるとパチンと消えます。
あえて残したい場合
逆に、深海のような表現や、オパールのような揺らぎを出したい時は、冷えて粘度が高い状態のレジンをあえて激しく混ぜて、細かい気泡をたくさん巻き込ませます。これが光を乱反射して、乳白色の神秘的な輝きを生んでくれます。「失敗」と思わずに、デザインの一部として取り入れてみるのも面白いですよ。
ここで出てきたエンボスヒーターのおすすめは>>レジンエンボスヒーターおすすめ機種と選び方の記事に詳しく書いてあります。
レジン鉱石はモールドなしで自由に作れる

モールドを使わないレジン鉱石作りは、偶然できた形や、削った時の予想外の断面を楽しむ、とても自由でクリエイティブなクラフトです。100均の材料でも、研磨やコーティングのひと手間を加えるだけで、驚くほど本格的で高級感のある作品に仕上がります。「失敗したかな?」と思っても、削り直して形を変えたり、上から別の層を重ねたりすれば、それがまた新しい鉱石の表情になります。
ぜひ、既製品の型にはまらない、あなただけの世界に一つだけの鉱石作りを楽しんでみてくださいね。
※本記事で紹介した技法や材料の使用は、あくまで一般的な目安です。レジン液は体質によってアレルギー反応が出る場合があります。作業の際は必ず換気を行い、手袋を着用するなど、各メーカーの注意事項に従ってください。 (出典:SK本舗『弊社レジンをご利用にあたってのご注意』)
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